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ガーデニング 自然を感じる原点大切に
朝日新聞 私の視点 (平成20年2月14日 掲載)
◆ガーデニング 自然を感じる原点大切に
ガーデンセンター経営 安 藤 正 彦
岐阜市でガーデンセンターを経営して35年になる。この10年ほどの間で気になる変化が起きている。小さくかわいい、手間のかからない花ばかりがもてはやされていることだ。よく売れる花は、たくさん咲き揃い、背丈が20cmほどの小さいものが多い。それは消費者が求める形にして購買を可能にしたからでもある。いずれもホルモン剤の一種である矮化剤で茎が伸びないようにした花である。こうした技術革新は、開花時期、花数、茎の伸ばし方など自由に調整することを可能にした。農家はその技術をマスターし、操るようになった。もちろんこのような技術革新が今の消費を支えている面もあるが、それに頼り過ぎ植物本来の持つ自然な姿が失われてしまっているのではないか。ホテルやレストラン、喫茶店、住居など、室内にある植物は少なくなった。屋外に植えられたり、飾られたりしていても、惰性で行われているようにしか見えない。例えば公園など公共の空間では、背丈も同じような花が毎年、植えれれている。そこからは「来年は何を植えて人々の目を楽しませようか」と思案する姿が浮かんでこないのだ。花は置物やインテリアではない。生きている自然、すなわち本物なのである。それをどう見るかは人それぞれの心の持ち方によるが、技術革新に頼り、あまりに人の手をかけたのでは、何を感じて欲しいのかが伝わってこない。伝えなくてはならないのは、個々の植物は自然の一端であこと。葉の色や形、向き、茎の色、伸び方、そして花の色、形、向き、咲き方、香り等々・・・。これらを通してこそ、根本にある植物本来の姿が見えてくるのではないか。なぜ、花と緑が住まいの中になくてはならないのか。その原点に立ち返り流通している植物をいま一度見直してみる必要がある。こうした現状から、ガーデニングの本質が見失われているのではないかと心配だ。最近その本質を言いあらわす言葉にめぐりあった。「フィール ザ ネイチャー」(Feel The Nature)という言葉である。園芸先進国のガーデンセンターでよく目にする言葉だ。これら欧米の国々やカナダ、ニュージーランドなどには大きなガーデンセンンターが幾つもあり、植物を居住空間に取り入れたライフスタイルが提案され色々な植物が販売されている。そこでよく目にするコーナーには自国に自生する植物を集めたコーナーがある。さらに日本原産の植物も多い。どの店もガーデニングは自然が原点にあり、植物に接し、感じることという理念に基づいて展開されている。自然を感じることとは、身近にある植物を大切にしながら多様な植物たちと共に暮らせることである。それは人の力、技術で作られた形ではない。例えばアガパンサスなどの宿根草は背丈が1m以上あり、実にのびのびしている。自然の植物たち自身が見せるパーフォーマンスを楽しみたい。
Posted by nagara at nagara : 11:37